葦原から想像する、食の関係

今年も須崎に様々なジャンルのアーティストが集い、地域に触れながら創造的な活動を行なっています。このアートプロジェクトは2014年より回を重ね、一昨年の現代地方譚5からは市内をを流れる河川、新荘川に茂る葦をシンボルとしてこの町の過去と今とを相対し見つめ、将来を想像しようという理念の下に続けられています。

昨年は町を一望する高台にある休憩所が住民との共同作業で再生され、作品のひとつとなり、災害時には避難場所にもなるスポットがアートによってより多くの人に注目される事になりました。

今回のテーマは「食べる」。須崎は豊かな自然に恵まれた食材の宝庫であることはよく知られています。訪れた誰もが驚く須崎の食材とユニークな食文化を足掛かりとしながら、美味しさや新鮮さだけではない、その周縁との関係性に着目したいと思います。例えば親と子との、家庭での関係性。地域の、町のコミュニティの中での関係性。経済活動が発達する中で私たちが得たもの、そして失われたもの…。

今年7月より参加アーティスト達が順次やって来ています。一家で須崎を訪れ、都会では味わえない大おきゃくを体験したり、暮らしの中で知らず知らずの内に共生している外来植物を調査したり、路上で即興の人形劇を行ないコミュニケーションを図ったり。またはワークショップを行うなど、それぞれがユニークなアプローチで須崎との関係性を育みました。彼らの体験がどんな形となって現れるのか、表現手法は各アーティストの手に委ねられますが、作品を鑑賞した私達自身が食を通じ身近な相手を想い、暮らしを見つめ、町を考える。そんな思考の連鎖のきっかけとなることを期待しています。

食の間 タベルノアイダ

食にまつわる関係性を考える。

生産者と消費者との間。

調理する人と食べる人、食卓の向こうに座る誰かとの間。

食材と、それを育む自然と私たち。

そして食事にかける時間…。

―推察

生まれたばかりの乳児にとって母親との間は限りなく近く、

母はまさしく子と共に生き、子を生かしている。

乳離れし、母親以外の他者との食の関係が生まれ、

共に過ごす時間が、空間が増していく。

それが家族となり、やがて社会となるのではないか。

関わる人が増えるごとに私たちは食卓を継ぎ拡げ、

大きなうつわに料理を盛り付け、相手をもてなし、語らい、

時に議論をかわし私たちは様々な間を拡げ、豊かな文化を育んだ。

―今、その間が変容している。

利便性、生産性、効率を追い続けた私たちは量的な豊かさを謳歌した。

その一方で均質なビニールのパッケージに覆われた

暮らしの中で私たちは常に時間に追われ、語らいの言葉を忘れ、

四季の移ろいに気づかず、地域固有の豊かな自然を失いつつある。

コミュニケーションと多様性の欠如。

これはすなわち文化の衰退と言える。

―そしてこれからを考える

わたしたちは生きるために必要不可欠な、食べる”モノ”と”コト”との間、

「たべるのあいだ」に再び思いを巡らせながら、

これからの地域文化を築きたい。

参加アーティスト

開催プログラム