企画について
アートを端緒にまちの魅力と課題を探ります。 須崎市は高知県の沿岸部に位置する人口20,000人ほどの町です。かつては流通の集積地として賑わいを見せましたが、現在は過疎、高齢化が進んでいます。以前のような経済的な成長が望めなくなった時代に、これまでとは違う指標で地域の豊かさを示し、ローカルから新たな価値を発信するプロジェクトです。 〈アーティスト・イン・レジデンスプログラム〉 独自の視点を持つ芸術家が須崎市に一定期間滞在し、住民との交流、地域資源の活用に取り組みながら作品制作を行い、その成果を展示・発表します。地域に関わる様々な人々が彼らの今日的な芸術表現を、作品の生まれる現場に立ち会い、作者との交流を通じて理解し、楽しみながらこれまでと異なる視座から日常を見つめ直し、持続的な社会のありようを探るための手掛かりを示します。 〈ワークショッププログラム〉 主に市民を対象にした参加・体験型の関連ワークショップを開催し、ものづくりを通じた社会参画の場づくりを試みます。テーマ:地域の社会課題を基にしたテーマを設定します。
自然環境、防災、食、少子化など、地域の懸案である、あるいはアクチュアルな課題を抽出し、アート的な思考から課題を捉え直し考えるためのテーマを設定します。 今期のテーマは「風立つところ」 気が付けば閉店を告げる貼り紙がまちに目立つようになりました。 丁寧な仕事の理髪店、栄養と胃袋を満たしてくれたお惣菜屋さん、地域医療を支えた診療所や医院など…。 毎日利用するわけではないけれど、訪ねれば商品やサービスだけでない、人と人との交換によって何かを得られる、豊かな日常です。既に多くの店がシャッターを降ろしてしまっていた市街地で、それでも細々と続けられていた古からの営みは、やがて高齢化や後継者の不在、設備の老朽化を理由として静かに、そして次々と終熄していきます。 その一方で近年、須崎市では官民、地域が一体となり市街地の活性化を目指し、観光需要拡大に向けた様々な取り組みがなされています。新たな商業施設が開業し、駅前や商店街には華やかな装飾が施され、時節毎に盛大な催しが繰り返し行われることで須崎を訪れる人も着実に増えています。この取り組み下支えとして、アパレルショップやクラフトビール製造などを起業したり、空店舗に新たな社交場作りを始めたりする若い世代も現れています。 こうした動きに加え、旧来のまちのシンボルとして本企画「現代地方譚」の展示会場としても度々使用されてきた旧錦湯をはじめ、商店街に建つレコード店、老舗旅館だった歴史的建築物が行政によって改修活用される事も決まりました。また来年度には新しい図書館複合施設も完成する予定です。見慣れた町並みは今後さらに変化していく事になるでしょう。 現代地方譚13では、地域の伝統・歴史・文化の継承の課題を孕みながら、世代交代が進むことで再活性化の新たな動きも出始めてきている、このまちにドラスティックな変化が起こるタイミングを「風が立つ」イメージに重ねます。 アーティスト・イン・レジデンスプログラム 参加アーティスト 岡林まゆみ / Mayumi OKABAYASHI 1973年生まれ、ベルリンを拠点に活動する現代美術家。 時の経過で消えるものと残るもの、根を張るものと枝のように広がるものの関係を探求し、自然の形から生まれる線や層を通して身体の感覚や記憶の痕跡を表現します。作品は空間に立ち上がる有機的な形を取り、その場にいる人と作品、そして作者の間に可視と不可視のつながりを生み出します。 1995年、京都精華大学デザイン科卒業。1997~2004年、デュッセルドルフアカデミーで美術を学び修士号取得。 https://www.mayumi-o.com/ ガビィ・タプリック / Gaby Taplick 1972年生まれ、ベルリンを拠点に活動するドイツの現代美術家。 彼女の彫刻やインスタレーション作品は、日常空間の中で偶然見つけられた素材を用いて制作されます。たとえば、合板、チップボード、紙、布など、特別ではない身近な素材です。彼女は素材の特有の質感や手触りを構成要素として用い、それを周囲の空間と対話させます。 2001年から2007年まで、ハノーファー応用科学芸術大学(ドイツ)で美術を学び、修士号を取得しました。 http://www.gabytaplick.com/ 小松千倫 / Kazumichi KOMATSU 高知県南国市生まれ。京都市在住。京都市立芸術大学美術研究科博士後期課程修了。音楽家、美術家、DJ。これまでに各国の様々なレーベルやパブリッシャーより複数の名義で膨大な数の音源をリリースしている。音や光といった振動/波を主な素材と看做し、情報の伝達や保存の物質的・心理的な距離の経験を扱う作品制作・研究を行う。https://kazumichikomatsu.com/ 阪上洋光 / Hiromitsu SAKAUE 1978年、兵庫県出身の劇作家・演出家・俳優・演劇教師、劇団「いちびり一家□すぺーす」代表。高校在学中に故秋浜悟史氏の劇表現に出会い衝撃を受ける。大阪芸術大学舞台芸術学科卒業。大阪芸術大学大学院芸術制作研究科修了。演劇教育に強い関心を持ち、 小学校・中学校・高校・大学の各機関での劇づくりに積極的に取り組むと共に、知的障がいを持つ方々との劇表現の可能性を探求している。近年は「日常を祝祭劇に」をモットーに<自称流しの国際演劇フェス師>と名乗り、更なる劇表現の発展を目指している。https://www.ichibiriikka.com/ ワークショッププログラム 参加アーティスト 小松 麗 / Ulala KOMATSU 色と音、そして “その場に生まれる気配” をキャンバスに映し出すライブペインター。筆だけでなく手や指、身体の動きを使って描き出される表現と自然の中でのパフォーマンスや音楽家とのコラボレーションなど、場のエネルギーをそのまま色彩へと変換する独自のスタイルが特徴。また、ハンドメイド作品も展開しており、1 点ずつ異なるデザインの“身にまとうアート” を制作している。 小松家 with / KOMATSU-Ke with 子どもから大人まで誰もが安心して集える場を作りたいという思いから、四万十町で本とアートの小さなコミュニティースペース運営しています。様々な人と一緒に創作やイベントを行う事で、立場や年代を超えた繋がり作りを目指しています。 プログラム詳細 1 アーティスト・イン・レジデンス(AIR) プログラム 「アーティスト・イン・レジデンス須崎 成果発表展示」 さまざまなジャンルの表現者が須崎に滞在し、作品制作を行う取り組みです。 各分野のアーティストが任意のタイミングで須崎を訪れ、地域のリサーチや住民との交流を通じて創作活動を行います。下記日程の展覧会で成果品の展示発表を行います。 一部の作家は年度を跨いで連続参加してもらい、長期のリサーチ・交流の継続による作品展開の可能性を探ります。 会期:2025 年1 月17日(土)~2 月 15日(日) 会場:すさきまちかどギャラリー/旧三浦邸(須崎市青木町1-16) 時間:10:00~17:00 月曜日休館 入場料:無料 「オープニングセレモニー」 展覧会の開催をアーティストや来場者、地域住民と祝い、交流します。展示会場の様子を中継し、各作品を紹介します。 その他、飲食出店、グッズ販売など。 日時:2025 年1 月17日(土) 18:00 会場:すさきまちかどギャラリー/旧三浦邸(須崎市青木町1-16) 入場料:無料 ※ドリンク・フードはキャッシュオン制 2 「須崎縁日商店街祭」と連携したアート体験プログラム 須崎市の中心市街地の活性化を図ることを目的に開催される商店街イベントと連携し、体験・参加型のプログラムを提供します。 「Atelier de Ulala ライブペインティング」 日時:2026年1月24日(土)13:00-14:00 会場:すさきまちかどギャラリー/旧三浦邸周辺 3 ワークショッププログラム 岡林まゆみ・ガビィ・タプリックによるワークショップ 「ストーリーラインプロジェクト- みんなでつながる絵のリレー」 一枚のA4の紙を2 ~5人が順番に描き継いでいく参加型アートワークです。 最初の人が線や形、色、コラージュなど、自由に“旅のはじまり”をつくります。 次の人はその痕跡を受け取り、感じたままに絵の続きを想像し、描き足していきます。 手から手へとイメージが渡るたびに絵は変化し、思いがけない物語が立ち上がっていきま す。 最後には誰か一人のものではない、みんなのものである一枚の絵が完成します。 日時:2025 年1 月18日(日) 13時より、随時参加可能 会場:すさきまちかどギャラリー/旧三浦邸(須崎市青木町1-16) 参加無料 小松家with によるワークショップ 「まちの音をあつめる日 ̶ 須崎サウンドスケープ」展 須崎市のまちなか・海辺などを歩きながら、子どもたちと一緒に環境音を録音するワークショップ。あつめた音は編集して1つの「まちの音の曲(サウンドアート作品)」に仕上げ、写真や文章の展示とともに発表します。 日時:2025 年1 月6日(日) 13時 集合:すさきまちかどギャラリー/旧三浦邸(須崎市青木町1-16) 参加無料 定員・申込方法等、詳細は追って告知します。 ※2026年1月6日に行われたワークショップで出来あがった作品を展示します。 会期:2026 年1 月17日(土)~2 月 15日(日) 会場:すさきまちかどギャラリー/旧三浦邸(須崎市青木町1-16) 4 関連プログラム 「すさき市民食堂うみやまごはん」 毎月第2日曜日に開催される【すさき市民食堂うみやまごはん」は子どもだけではない、市民の交流の場。どなたでも利用していただけます。先着50食、なくなり次第終了(早めのお越しをお勧めします。) 日時:2026 年2月8日(日) 11:00~14:00 会場:交流ひろばすさき(須崎市南古市町6-3) 料金:子ども無料/大人300円 「日曜市で朝ごはん」 現代地方譚をきっかけに始まった日曜市での朝食会を通年で開催。 日曜市で食材を買いまわり、皿鉢に盛り付け、その場で朝ごはんを食べるミーティング。 買い物客、市の出店者、滞在中のアーティストとのコミュニケーションを図ります。 日時:現代地方譚13会期中の1月18日ほか、毎月第3日曜日、7:00~9:00頃開催 会場:古市通商店街、すさきの日曜市アーティスト・イン・レジデンス(AIR)
アーティスト・イン・レジデンス(AIR)とは、芸術家が須崎市に一定期間滞在し、住民との交流、地域資源の活用に取り組みながら作品制作を行い、その成果を展示・発表するアートプロジェクトです。今日的な芸術表現を、作品の生まれる現場に立ち会い、作家との交流を通じて理解し、楽しみながら地域課題の解決の糸口を探ります。ユニークな視点を持つアーティストが須崎での滞在経験を元に制作したアートワークを発表します。
これまでに100組以上のアーティストがこの地域に滞在し、地域住民との交流を深めてきました。アーティストの滞在拠点や展示会場として、街に点在する空建物を活用することで、展示を観るために街を回遊する人の流れも生まれました。活用した物件に入居が決まる事例も出ています。アーティストのユニークな活動を目の当たりにすることで街に活気が生まれ始めています。
| テーマ | 現代地方譚13 風立つところ |
|---|---|
| 展覧会期 | 2026年1月17日(土)~2月15日(日) |
| 会場 | すさきまちかどギャラリー/旧三浦邸、ほか |
| 時間 | 10:00~17:00 月曜日休館 |
| 主催 | すさき芸術のまちづくり実行委員会 |
| 共催 | すさきまちかどギャラリー/旧三浦邸 |
| お問い合わせ先 | すさきまちかどギャラリー/旧三浦邸(TEL.050-8803-8668・E-mail machikado.gallery@gmail.com) |