第8回となる今期のテーマは「おちこちのひびき」。感染症という予期せぬ事態で往来が閉ざされた今年を思索と実験の機会とし、これまで聴けなかった様々な声・音に耳を傾けてみる。

“遠い所と近い所”、“あちらこちら”、“将来と現在”、”昔と今“そんな意味を持つ「おちこち」からの響きを集め、捉え、それらの調律を試みます。

「おちこちのひびき」

全世界が共通の危機に直面して一年。腐り切って沈殿していた様々な問題をも浮かび上がらせたウイルスは数字と化し天気予報の様に生活に溶け込みました。ある側面だけからみると、我々人類の歴史は問題と共存するために自由を手放し、持続可能な社会を追求してきたとも言えるかもしれません。今回人類はまた自由を手放すかもしれないし、自由を得るかもしれない。はたまた何事もなかったかのように表面的な収束に向かうだけかもしれません。確実に言えることは現実には映画の様なオープニングやエンドロールはなく、何をもって収束か何が正義かを判断できる人はまだ誰もいないということです。

そもそも問題は皆、自分自身の内側に元からあったのかもしれません。それが外に飛び出し目の前に広がった時には、取り返しのつかない大きな問題になっていて、未知な物に対して学ではなく我の方が勝り、憶測が飛び交う。大前提として現状はまだ「わからない」ことの方が多いはずなのに、まだわかりませんが…と、思考を繰り返し更新している人の発言は固執する憶測の中に埋没し空気感はゆらいでいく。

「わからない」からこそ、やれる範囲の実験を繰り返すしかない、無理せず、ゴトゴト。

「わからない」からこそ、耳を傾け、ミクロもマクロも一度受け入れてみる。

普段耳を傾けないあんな人やこんな人に傾けるのもいいかもしれません。

聞いた後、耳を塞ぐ事がその人にとっていいのかも、はたまた、違う深海に耳をかたむけるのも…。

実験、実験。調律、調律。

今年の現代地方譚テーマは、おちこちのひびき。

遠い所と近い所。あちらこちら。将来と現在。昔と今。そんな意味を持つおちこち、の響きを、「わからない」からこそ、現在地から聞く所から始められたらと思っています。


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